寺町散策

 天正14年(1586年)に阿波に入国した蜂須賀家正は城下町の建設にあたり、海に面した寺島の地に寺院を集めたのですが、後に現在の地に移して作ったのが寺町です。この地にある23ヶ寺では歴史に名をとどめた有名人の墓を見ることができます。昭和20年の徳島大空襲によりこの一帯は焼失しましたが、復興して現在に至っています。 趣深いこの一帯は徳島市内にたたずむ古都の味わいが感じられる散策に適したところです。

モラエスの墓

眉山に登るロープウェイ駅がある阿波踊り会館近くの潮音寺に墓があるモラエスは、戦前にポルトガルの外交官として来日し、神戸在勤中に芸者のおヨネと出会い、おヨネの死没後に職を辞してヨネの故郷である徳島市に移住し、眉山の麓の伊賀町に住み、ラフカディオ・ハーンのように当時の日本の文化を紹介したことで知られています。その生涯については新田次郎が、その晩年に「弧愁 サウダーデ」というタイトルで新聞の連載小説として取り組んだのですが、執筆途上で著者の急逝のため中断されました。しかし、この小説は二男の数学者でエッセイストの藤原正彦により後半部分が書き継がれ、平成24年に二人の共著として文藝春秋社から刊行されました。

錦竜水(きんりょうすい)

硬度が高くミネラルに富み、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどを含む眉山の麓から湧き出る水です。江戸時代の徳島藩主はこの水を愛用し、水番所を置いて保護しました。1976年ごろ水脈が途絶えましたが、保存会により復旧工事がなされたことにより蘇り、歴史的名水として市民に慕われています。

瀧の焼き餅

眉山の麓の大滝山の一角にある茶店で売られている焼き餅で、米ともち米の粉を名水の錦竜水で練り、中にさらしあんを入れて焼いた菓子です。散策の途中で焼き餅を食べながら一息入れるのも興があるかもしれません。